2020/4/30
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宮崎でのランニングライフ(徳井) |
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私は、仕事の関係で以前、宮崎に2年間単身赴任していました。その頃の思い出をランニング中心に書かせていただきます。 私は、若い頃は奈良県や秋田県にも勤務しましたが、その後は神奈川県内や東京都内で働いていました。しかし退職の数年前に遠方への転勤を打診され、「暖かい所がいいです。」と静岡あたりをイメージしていたところ、「九州の宮崎」と言われ、目が点になってしまいました。 諸般の事情から、生まれて初めて単身生活をすることになり、ランニング三昧の生活が送れると期待しましたが、食事、洗濯、掃除などに追われ、思ったほどは走れませんでした。それでも、アパートの近くに「大淀川(おおよどがわ)」という境川のようなランニングコースを見つけ(大淀川では鱧(はも)が釣れます。)、暇を見つけては走っていました。楽しかったのは秋だったと思いますが、河原を走っていると、草むらから驚いた何百匹ものバッタが跳び出し先導してくれるのです。面白がってジグザクで走ったりしましたが、後で同僚から河原にはマムシがいると聞きぞっとしました。 ただ大淀川は日陰がなく夏は暑いので、数キロの所に平和台公園という木陰が多そうなランニングコースを見つけました。宮崎は神話のふるさとで、公園には埴輪が沢山あり、古代人になった気分で走っていました。また、初夏の宵には蛍がきれいです。私も子どもの頃に蛍狩りをした思い出がありますが、確か体の小さな平家ボタルでした。宮崎の蛍は、体が大きく光も強い源氏ボタルで、瞬きながらゆったりと舞う姿は幽玄そのものでした。 また、宮崎では毎年12月に「青島太平洋マラソン」というフルマラソンが開催されます。昨年第33回を迎えた歴史ある大会で、温暖なこともあり関東や関西から遠征する人も多く、私も宮崎にいる間に2回参加しました。スタートはプロ野球のキャンプが行われるサンマリンスタジアムで、宮崎の代名詞になっているワシントニアパームツリー(椰子の樹)の並木を進み、1932年(昭和7年)に竣工し偉容を誇るゴチック建築と前庭のフェニックスが美しい宮崎県庁の前を通って、神武天皇を祀る宮崎神宮を折り返します。そして、鬼の洗濯岩で有名で、かつては新婚旅行のメッカだった青島まで行き、雄大な太平洋を眼前に望むトロピカルロードで最後の力をふり絞ってフィニッシュです。名物エイドは、私の参加した時は「マンゴーシャーベット」でしたが、コチコチに凍っていて、スプーンでつついている間に何人ものランナーに先を越されてしまいました。今は、宮崎のもう一つの有名な柑橘類「日向(ひゅうが)夏(なつ)ゼリー」になっているようです。 感動したのはホスピタリティの良さです。宮崎はスポーツ立県を目指していて、簡易トイレの前にはボランティアの女子高生が一人ずつ立っていて、トイレのドアの開け閉めをしてくれました(何もそこまでしなくてもと思いましたが)。また着替え等も武道館が開放され、完走した後もゆっくり休むことができました。 走った後はチキン南蛮もいいですが、やはり鶏の炭火焼きです。炭火焼きは見た目は真っ黒ですが、地鶏(じど)っこのしこしこした歯ごたえがたまらず、ビールがいくらでも飲めます。そしてビールの次は当然焼酎です。「霧島」などの芋焼酎やそば焼酎「雲海」が有名ですが、宮崎市から少し離れた高鍋町にある黒木本店の「百年の孤独」という麦焼酎がお薦めです。他の焼酎と異なりウイスキーのように蒸留したお酒を数年間ホワイトオークの樽で熟成させた物で、うっすら琥珀色のとろっとしたまろやかさは焼酎の域を超えています。何でも、天皇陛下が若い頃、「晩酌は何を飲まれますか?」と記者に聞かれ、「百年の孤独です。」と答えてから特に人気が出たとか。そのため、ネットではプレミアが付いているようですが、私が宮崎にいた時は職場の同僚が黒木本店の社長の同級生で、安く譲ってもらっていました。 以上、ちょっと長くなりましたが、コロナの影響で外出もままならない中、少しでも旅行気分を味わっていただけたら幸いです。 |
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